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金型職人の技術を機械に置き換え、「再現性」をつくり出したのがNC(数値制御)による工作機械の登場である。
1960年代からすでに実用化に入っていたが、いわゆる「町工場」に普及し始めたのは、70年代の後半から80年代に入ってからだ。
金型製作に限らず、クルマや家電製品の関連工場などはNC工作機械なくしては成り立たない時代になっていた。
しかし丸伸製作所のような特殊な加工技術は、量産物の加工技術とは少し異なる。
市販品タイプの工作機械は売り出されていなかった。
それゆえM社長は自分でデジタル化に挑戦したのである。
「レーザー加工機で溝を加工し、刃を挿入する方式に挑戦しました。
まずレーザー加工機は、メーカーと共同開発で、溝幅が一定になる機械を開発し、次に刃を曲げる機械の開発に移りました。
すでに段ボール業界で刃を曲げる機械が使われていましたので、メーカーにお願いして小型の刃物を曲げる機械を開発してもらいました。
こうして機械はできましたが、これらは今のIT技術では簡単なことですが当時は大変でした。
お客様からシールの形状データを、電話回線を使ってデータ通信で送ってもらうなど、生産方式を革新しました。
これらの方法は業界にインパクトを与え、シール用紙の拡大にもつながりました」とM社長は言う。
8ミクロンの紙に型抜きするパソコンの急速な普及はウィンドウズ95の発売(1995年)からだったが、M社長がパソコンに取り組み始めたのは1980年代のことである。
まだ現在のようなインターネット上の各種情報が普及する前で「パソコン通信」などという言葉があった時代である。
たぶんデータ通信を覚えたのは早いほうだった。
だから取引先にパソコン通信の指導をすることから始めたのである。
またM社長は別の工夫を加えた。
例えば「型」の素材は、普通は強化アクリルだが、数十万ショットすると割れてくるので、「ある材料」を混入させ割れないようにした。
「刃物」を変えれば、何ショットでも可能となったというのである。
鋼である「刃物」の製作会社は東大阪に二社、スウェーデンに一社あるそうだが、刃の角度と焼き入れは指定するとのことである。
これもまた「市販品タイプ」のものではないからだ。
シールやラペルに使う紙などの素材の厚さは、8ミクロンから300ミクロンまでと幅広いが、いずれにしても抜く(切り込みを入れる)ときに「下の紙」にダメージを与えないことが条件になる。
また条件の変化も多様だ。
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